柔道の主な国際ルールの変遷
今夏のリオデジャネイロ五輪で、男子が全階級でメダルを獲得するなど、「お家芸」復活を強く印象づけた日本柔道。国際柔道連盟(IJF)が公表した新ルールは、試験期間を経て2020年東京五輪でも適用される見込みだ。「大きな影響はない」「不利になるのでは」。指導者らの見立ては様々だ。
柔道ルール改正、「有効」を廃止 男子も試合時間4分に
新たなルールの発表を受け、日本代表女子の増地克之監督は「私見だが、一本を目指す柔道を追求してきた日本にとって戦い方に大きな影響はない」。全日本柔道連盟の強化委員の一人も「年末には概要が出るという話は聞いていた。今回の改正で、日本の有利、不利というのはないと思う」と冷静に受け止める。
改正されるルールでは、「指導」を受ける数に差があっても反則負けとならない限り決着せず、時間無制限の延長に入る。増地監督は「今まで以上に自分の技をしっかり持ち、スタミナがある選手が勝ち上がる傾向にはなると思う。日本代表のスタッフで話を詰めて、きちんと対応していきたい」。
一方、東大柔道部長を務め、格闘技に詳しい松原隆一郎・東大大学院教授は「日本人にとって不利になる」と心配する。男子の試合時間が5分から4分に短縮されることについて、「日本人にとってかなり厳しい。前半は爆発的な力をためて、後半で仕留める日本が得意とするスタミナのつぶし合いができなくなる」。時間配分を考慮した戦略の立て方に影響が出るとみる。
想定されるのは、筋力を使う「パワー柔道」に拍車がかかることだ。「最初から瞬発力で一本をとるような技をどんどん仕掛けるしかなくなる。先行逃げ切り型の選手が得になり、ゆっくり組み手争いはできなくなる。場合によっては、片手で一本とるくらいの技術、技の正確度が必要になると思う」。さらに「ほぼ息を止める感じでお互いがんがん技を打ち合う相当単純なものになると思うので、技のかけ逃げも増えて、審判も混乱するのではないか」と危惧する。
日本の対策について、「特に女…