原爆詩を朗読する吉永小百合さん=19日、大阪市北区のフェスティバルホール、高橋雄大撮影
吉永小百合さんと坂本龍一さんが手をつなぎ、大阪で19日に開かれたチャリティーコンサート。太平洋戦争の開戦から75年となる年の瀬、「平和な世界のために行動を」との思いが形になった。震災や原発事故を体験した東北の学生たちも出演し、「あきらめない」と心に誓った。
吉永小百合さん・坂本龍一さん「核なき世界」朗読と演奏
特集:核といのちを考える
坂本さんのピアノの旋律に乗せて、吉永さんは一編の詩を静かに読み始めた。
「かなしみの国に雪が降りつむ かなしみを糧として生きよと雪が降りつむ 失いつくしたものの上に雪が降りつむ」
終戦の3年後、岡山県出身の詩人・永瀬清子が詩集に収めた「降りつむ」。戦後は農業を営みながら詩作を続けた永瀬が、戦争で傷つき果てた人たちに平和と新しい時代への希望を託し、「冬を越せよ」「やがてよき春の立ちあがれ」と励ます作品だ。
「どうにもならない悲惨な状況でも立ち上がろう、前に向かって行こうという思いが伝わってくる」。広島・長崎の被爆地や震災の被災地を念頭に、「戦後、厳しい状況の中で傷ついた人たちへの励ましは、阪神・淡路大震災や東日本大震災で被災した方たちへの思いと重なる」。吉永さんは、この作品を選んだ理由をステージで語った。
皇后の美智子さまが平和を願っ…