成年後見人として管理していた高齢者の預金を着服したとして、業務上横領罪に問われた弁護士渡辺直樹被告(59)の論告求刑が21日、名古屋地裁であった。検察側は懲役4年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は来月10日に言い渡される。
検察側は論告などで、渡辺被告は2013年12月~15年7月、愛知県内の70代男性の銀行口座などから計1828万円を着服し、別に依頼を受けた事件の返還金などを捻出するため犯行に及んだと指摘。「成年後見制度の健全な運営に支障を及ぼし、弁護士への信頼を損ねた」と述べた。
弁護側は「愛知県弁護士会に退会届を提出し、被害金は全額返済している」として情状酌量を訴えた。渡辺被告は被告人質問で「人に寄り添い助ける存在なのに、最も弱い人の財産を損ね、大変申し訳ない」と述べた。