被災した福島県富岡町を視察する司教ら=14年12月、「カトリック新聞」提供
日本のカトリック教会が原発をめぐる思索を深めている。5年前にも即時廃止を呼びかけたが、11月11日に発表した司教団メッセージでは信仰の視点からの検討が厚みを増した。再稼働や原発輸出を進める政府も事実上批判している。
司教団は全国の司教(現在16人)の総意として教会の方向性を決める。2001年には、21世紀を迎えてのメッセージのなかで核エネルギーの問題に触れた。「その有効利用については、人間の限界をわきまえた英知と、細心の上に細心の注意を重ねる努力が必要でしょう」。代替エネルギーの開発を求めてはいるが、原発容認の内容だった。
しかし東日本大震災で、福島第一原発の事故が起きた。痛切な反省から11年のメッセージは、国内すべての原発の即時廃止を呼びかけた。ただ神学的な根拠としては、神から求められる生き方である「単純質素な生活様式」を選び直すべきだ、とする程度にとどまった。
その後も議論は続く。刺激となったのは、やはり多くの原発を抱える韓国の教会が発した声だった。
福島の事故に衝撃を受けた韓国…