大阪・中之島にあった広島藩蔵屋敷の写真。船着き場の水上に鳥居が建てられている=広島市文化財団提供
江戸時代から明治初期の大阪・中之島に、世界遺産・厳島神社(広島県)と同じような水上の鳥居が立っていたことを裏付ける写真が見つかった。当時の広島藩蔵屋敷にあった厳島神社の船着き場近くにあり、安芸・宮島の「本家」と同様、米などの物資を運ぶ航海の安全を祈願して建立されたとみられる。
「天下の台所」と呼ばれた大阪には、各藩が回送した米や特産物などを保管する蔵屋敷が立ち並んでいた。堂島川沿いにあった広島藩の屋敷は中でも大きく、船が屋敷内に入って荷揚げできる「船入」(船着き場)もあった。今回見つかった写真には、船入の水面を海に見立てる形で建てられた鳥居が写っていた。
大阪歴史博物館(大阪市)によると、中之島の水上鳥居は当時の絵図などに記されていたが、実物が確認されたのは初めて。写真中央には、江戸期に広島・厳島神社の大鳥居に掲げられた扁額(へんがく)と同じ「厳嶋大明神」の文字が見える。左奥には泳ぐタコのような枝ぶりの「蛸(たこ)の松」もあり、当時の景観が伝わる。
鶏卵紙(縦5・5センチ、横9…