住民らの立ち入りが許可された焼け跡では、お互い拳を合わせ励まし合う姿も見られた=24日午前10時31分、新潟県糸魚川市、長島一浩撮影
新潟県糸魚川市の大規模火災で避難勧告が出された地域の一部に24日午前、住民が一時的に戻った。変わり果てた町を見て、ぼうぜんとする人の姿があった。
糸魚川大火
午前9時過ぎに自宅を見に行った女性(68)は「全部ない。全滅。頭の中はからっぽです」と肩を落とした。自宅があった場所は、がれきの山になっていた。「片付けなんてできない。周りも焼け野原だった」
同市大町1丁目に自宅がある高校2年の男子生徒(17)は全焼した自宅を見て、「今は何も考えられない」。22日には母親から無料通信アプリ「LINE(ライン)」で「家、全部燃えた」と連絡があった。24日には家には入れず、何も持ち出せなかった。「今年亡くなった大好きな祖父の写真だけでも持ち出したかった」
近くですし店を息子らと切り盛りする女性(76)も、店の前ががれきの山で中に入れなかった。女性は「いくら災害とはいえ悔しい。今まで頑張ってきたものが全部なくなった」。
年の瀬のすし、正月のおせち料理の予約帳が燃えてしまったことを悔やむ。「お客さんに申し訳ない。予約帳だけでも持ち出したかった。再開したいけど、時間がかかってしまいそう」と語った。