沖ノ島で出土した国宝の金銅製龍頭(こんどうせいりゅうとう)も展示され、集まった人たちは食い入るように見入っていた=26日午後、福岡県太宰府市の九州国立博物館、長沢幹城撮影
九州国立博物館(福岡県太宰府市)で26日、特別展「宗像・沖ノ島と大和朝廷」(朝日新聞社など主催)の開会式があった。沖ノ島の宝物を中心に、奈良など日本各地や朝鮮半島の計160件を並べた特別展は1月1日に開幕する。
開会式には韓国の博物館関係者2人も出席。島谷弘幸館長が「大和朝廷に重要視された沖ノ島の探求は、九博の理念『日本文化の形成をアジア史的観点から捉える』を体現する」とあいさつした。続いて内覧会があり、多くの人が国宝の「金銅製(こんどうせい)龍頭(りゅうとう)」などに見入った。
3月5日まで。月曜休館(1月2日と9日は開館、10日は休館)。一般1500円など。(渡辺松雄)
■「香炉」覆す新説
展示される沖ノ島宝物のうち、用途が謎の「金銅製香炉状品(こんどうせいこうろじょうひん)」について九博は、馬の首に下げた金具である可能性を明らかにした。
この製品は蓮華(れんげ)文や透かし彫りで竜の意匠を施す球体。その用途や正確な製作年代は不明で、漠然と香炉などと考えられてきた。
市元塁・元九博研究員によると、類例の検討から馬の首にぶら下げた「頸総(くびふさ)金具」(6世紀後半~7世紀前半)で、中国の系譜を引いて朝鮮半島か日本で作られたとみられるという。同展図録で解説している。(編集委員・中村俊介)