出土した海老錠(えびじょう)の牡(お)金具=13日午前11時37分、奈良県橿原市、伊藤進之介撮影
日本初の本格的な宮廷庭園跡とされる奈良県明日香村の「飛鳥京跡苑池(えんち)」(国史跡・名勝)で、7世紀後半に造られたとみられる最古級の錠前「海老錠(えびじょう)」が見つかった。県立橿原考古学研究所(橿考研)が13日、発表した。専門家は「宮殿(飛鳥宮)の扉や、貴族が服を入れる箱などに使った可能性が高い」と話す。
海老錠はかんぬきなどに使い、かぎ穴のある「牝(め)金具」に、バネがついた「牡(お)金具」を差し込んで鍵をする。外すときは鍵の先端でバネをすぼめて押し出す。全体の形がエビに似ていることから名づけられた。
出土した海老錠は鉄製の牡金具で、苑池の北池の北側にある水路跡から見つかった。約9・5センチ、17グラム。水分の多い粘土層にあったため形がきれいに残ったという。表面に線状の装飾があり、漆を塗った跡がある。飛鳥京跡では牝金具が1968年に見つかっている。正倉院にある奈良時代の鉄製の海老錠にも漆が塗られている。
橿考研によると、飛鳥時代(6…