フィリピン国家警察は、ドゥテルテ政権の「麻薬戦争」による死者が、21日までに計6182人に達したことを明らかにした。民間の世論調査では、家族が麻薬戦争で殺害されないか心配する声が多く、同政権の手法に国民が不安を感じている様子が浮かぶ。
警察によると、7月1日から12月21日までに、捜査に抵抗するなどして警官が殺害した人が2133人。このほか、麻薬関係者かどうかもふくめ背景を「捜査中」の死者が15日までに4049人。6月30日にドゥテルテ大統領が就任してから半年で、毎月千人以上が命を落とした計算になる。
警察はこれまで、麻薬犯罪の容疑者の自宅など546万軒以上を訪問して捜査。これまで約95万3千人の麻薬犯罪者が自首した。
フィリピンの民間団体が12月初旬、成人1500人に聞いた世論調査によると、麻薬犯罪対策について8割以上が「とても満足」「いくらか満足」と答えた。その一方で、家族らが超法規的殺人の犠牲にならないか「心配だ」との回答は計78%に上った。麻薬犯罪者を殺害せず「生かしておくことが大事だ」と考える人が計94%を占めた。(ハノイ=鈴木暁子)