32段の大ひな壇の中央にずらりと並んだ内裏びな=静岡県袋井市久能の可睡斎
静岡県袋井市久能の禅寺「可睡斎(かすいさい)」で、供養のために託された3千体を超すひな人形を飾るひなまつりが元日から始まる。3回目の今回も国の登録有形文化財瑞龍閣に32段約1200体の大ひな壇(高さ3メートル、幅9メートル)がしつらえられ、開幕を前に報道陣に公開された。
瑞龍閣では、部屋や廊下などいたるところにひな人形が飾り付けられている。今回初めて、山形県酒田市に江戸時代から伝わるつるし飾りの「傘福」が展示された。高さ3・5メートルの傘に宝を表す999個の細工物が糸でつるされている。
可睡斎のひなまつりは「美しい人形を焼いてしまうのは忍びない」との僧侶の思いから始まり、前回は5万人超が来場した。佐瀬道淳斎主は「こうして飾ることで人形にもう一度命を与えることができる。物を大切にする心、生かされている命を大切にするという思いを育てる場にしたい」。3月31日まで。拝観料5百円(小学生以下無料)。
可睡斎の門前やJR袋井駅前商店街、市役所など市内約100カ所でもひな飾りを展示する。