三重県を本拠地とする地方銀行の三重銀行(四日市市)と、第二地方銀行の第三銀行(松阪市)が経営統合を視野に交渉していることが5日、わかった。規模を拡大することで、多額の費用がかかるシステムなどのコスト削減を進め、人口減などで先細る収益のてこ入れを図る方向だ。
統合時期や、共同で持ち株会社を設立するのか、合併するのかといった詳細については、今後検討する。三重銀の預金残高(2016年3月末時点)は1兆6222億円で、第三銀は1兆7884億円。経営統合が実現すれば、同県で首位の百五銀行(津市、4兆4529億円)に近づく。
人口減で本業の融資の拡大が見込めなくなるなか、地方銀行の再編は全国的に進んできた。自動車産業が盛んな東海地方では、銀行の経営は比較的安定しており、再編が遅れていた。両行の経営統合交渉が明らかになったことで、今後、東海地方でも再編が加速する可能性がある。
第三銀をめぐっては、リーマン・ショック直後の09年に、国が300億円の公的資金を注入。日本銀行のマイナス金利政策の導入により、収益が返済に向けた経営計画より下ぶれするなか、もうける力をいかに向上させるかが課題になっていた。
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〈三重銀行〉 1895年に四日市銀行として設立。本店がある四日市市など三重県北部が地盤で、愛知、東京、大阪の4都府県に計75本支店。連結総資産は1兆9480億円(2016年9月末)。
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〈第三銀行〉 1912年創立。本店がある松阪市など三重県南部が地盤で、愛知、岐阜、奈良、和歌山など7都府県に95本支店。連結総資産は2兆183億円(2016年9月末)。