東京電力ホールディングスの数土文夫会長と広瀬直己社長が5日、新潟県庁を訪れ、米山隆一知事と会談した。数土会長らは柏崎刈羽原発の再稼働に理解を求めたが、米山知事は「福島第一原発事故などの検証がされない限り難しい。現状では認められない」と慎重な姿勢を伝えた。
米山知事が昨年10月の知事就任後、東電幹部と会うのは初めて。米山知事は会談で「(県側による)検証には数年はかかる」との見通しを語り、東電側に情報提供などで協力を求めた。数土会長は「地元の声を聞くことが第一だ」と応じ、知事の同意がない限り再稼働しないとの考えを示した。
経済産業省の有識者会議は昨年末、福島第一原発事故の処理費が従来想定の2倍の21・5兆円に膨らむとの試算を出した。東電は柏崎刈羽の2基を動かすことで年1千億円の利益を得て、それらを原資に事故処理費を賄うとしている。ただ、柏崎刈羽の再稼働が見通せなくなったことで、この計画は早くも目算が狂いだしている。(米谷陽一、松浦祐子)