登校する児童たち。「おかえり」の気持ちを込めて保護者が作った黄色い布が出迎えた=10日午前7時40分、熊本県御船町、福岡亜純撮影
昨年4月の熊本地震で通学路が寸断されていた熊本県御船町の滝尾小学校(児童73人)で10日、3学期が始まり、児童が地震以来初めて、本来の校舎に登校した。映画「幸福の黄色いハンカチ」になぞらえ、頭上にたなびく「黄色い名札」が、約9カ月ぶりに山あいの学舎(まなびや)に戻った子どもたちを出迎えた。
昨年4月16日の本震による落石で、学校に続く国道が通行止めになった。子どもたちは約4キロ離れた町中心部の御船中学校にスクールバスで通い、ホールや家庭科室を間仕切りした「教室」で学んできた。12月にようやく国道が片側交互通行できるようになり、3学期から元の校舎での再開となった。
学校では、地区の住民や保護者らが「おかえりなさい」の意味を込め、児童一人ひとりの名前を黄色い布に書いて、校門と校舎の間に掲げたほか、この日は子どもたちが歩いて登校する姿を見送った。
始業式で上田晃生(てるお)校長(55)は「地域の人、みんなが喜んでくれています。いっぱいお話をして、おおらかな滝尾っ子になってください」と呼びかけた。
1年生は入学直後に地震が起きたため、本来の校舎で学ぶのはこの日が4日目だった。園田愛華さん(7)は「運動場のタイヤで遊びたい」。一方、6年生の授業はあと52日。永本大真(はるま)君(12)は「家から30分歩くから遠いけど、いつも通りの感じを思い出せてうれしい。しっかり勉強を頑張って、悔いがないようにしたい」と話した。(平井良和)