米ホワイトハウスは9日、オバマ大統領が執筆した米国の自然エネルギー導入に関する政策論文が、米科学誌サイエンスの最新号に掲載されると発表した。オバマ政権が力を入れてきた地球温暖化対策に否定的なトランプ次期政権を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。科学誌への現職大統領の寄稿は珍しい。
寄稿したのは「不可逆的なクリーンエネルギーの機運」と題した4ページの論文。筆者はオバマ氏単独で、13日付の政策特集の欄に掲載される。ホルドレン大統領補佐官(科学技術担当)らが執筆に協力した。
オバマ氏は、太陽光や風力など自然エネルギー導入が今後も続く理由として、オバマ政権が誕生した2008年以降、エネルギー分野の二酸化炭素(CO2)排出量は9・5%減ったのに、その間の経済成長は10%を超えたと指摘。「気候変動に立ち向かうには、低成長と生活水準の低下を受け入れなければならないという議論に終止符を打つべきだ」と述べている。
さらに、米グーグルが今年中に全使用電力を再生可能エネルギーでまかなう計画を発表するなど、産業界の取り組みの本格化▽太陽光などの発電コストの大幅低下▽温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」発効による国際的な機運の高まりなどを挙げ、「最新の科学と経済が将来への道しるべとなるだろう」と主張している。(ワシントン=小林哲)