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津波避難アプリ開発者の覚悟 「研究だけじゃ救えない」

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スマートフォンを使った避難訓練で、現在地と津波の浸水想定区域を確認する矢守克也教授(中央)=昨年12月18日、高知県須崎市、遠藤真梨撮影


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津波到達まで19分――。


特集:阪神大震災22年


スマートフォンの画面でカウントダウンが始まる。地図上で、浸水区域を示す青色の範囲が広がっていく。


79歳の男性は、付き添いの高校生が持つスマホを見ながら裏山へ。急な階段を上り、6分ほどで中腹にたどり着くと、画面が緑色に変わった。「避難成功」だ。


「あと何分で津波に追いつかれるかが分かるので、必死で逃げた」。男性の顔がほころぶ。


南海トラフ巨大地震が起きれば、最大25メートルの津波に襲われると想定されている高知県須崎市。アプリ「逃げトレ」を使った訓練だ。


訓練に臨場感を持たせようと、このアプリを開発したのは、京都大学防災研究所教授の矢守克也さん(53)。防災心理学を研究して約30年。阪神大震災の発生当時は奈良大学助教授だった。水害の被災者の記憶の変化などをテーマに研究していた。


「研究している場合じゃないのは分かるよね」と恩師。翌日に被災地に入り、兵庫県芦屋市の避難所で炊き出しの手伝いをした。


ひしゃげた家々。波打つ道路。疲れた表情の人たち。「防災心理学を掲げていても目の前の誰も救えない」。無力感に襲われた。


思えば、水害や地すべりの被災…



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