事故発生時刻に合わせて現場を訪れ、犠牲者を悼む人たち=15日午前1時46分、長野県軽井沢町、越田省吾撮影
長野県軽井沢町で昨年1月、乗客・乗員15人が死亡し、26人が重軽傷を負ったスキーツアーバスの転落事故は15日、発生から1年を迎えた。国道18号(碓氷(うすい)バイパス)の事故現場には、犠牲になった大学生の遺族らが訪れ、手を合わせた。
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「ここに娘がいるわけではないが、近くを清らかな水が流れていて……」。池田衣里さん(当時19)=東京都多摩市=の母親は雪に覆われた現場を見渡し、声を詰まらせた。衣里さんは生きていれば成人式。着物は2年前にあつらえていた。父親は「娘の晴れ姿を見られないのがつらい」。献花台に花束と、衣里さんが好きだったワッフルを供えた。
発生時刻の午前1時55分には首都大学東京の男子学生3人が、約1分間黙禱(もくとう)を捧げた。友人を亡くし、自らもけがを負った男子学生(21)は「この1年間は事故のこと、亡くなった友人のことを思い出さない日はなかった」と語った。
一方、事故車両を運行したバス会社「イーエスピー」の高橋美作社長も同日午前1時前に現場を訪れ、「15名のみなさまのご冥福を心よりお祈り申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」と報道陣に話した。
根本幸典・国土交通大臣政務官、藤巻進・軽井沢町長も同日午前、それぞれ現場を訪問し、犠牲者の死を悼んだ。(桜庭泰彦、関口佳代子)