国内の広告費の推移
インターネット広告の不正取引問題で、広告大手の電通が社内調査の報告書を公表した。不正が起きた背景には、急速に成長する国内のネット広告市場に出遅れた電通の焦りがある。今月中に交代予定の新社長は、過労死事件もあった社内の労働環境の改善に加え、ネット広告業務の立て直しも迫られる。
電通、ネット広告の不正取引1.1億円 社内調査報告書
電通が17日に公表した社内調査は、ネット不正が起きた背景について「現場に必要な能力や業務量の変化があった」と分析。ネット広告市場の急速な成長に社内態勢が追いつかず、「人的リソースの適正配置や研修が十分でなかった」などと結論づけた。
電通の資料によると、国内の広告市場は、新聞やテレビなど従来型の広告が頭打ちになる一方、ネット広告は伸び続けている。2015年には広告市場全体の2割近くを占めるまでになった。
業界関係者によると、ネット広告は閲覧回数に加え、閲覧者の性別や職業が推定できる仕組みもあり、きめ細かく商品やサービスを訴求しやすいという。広告主も、以前より広告効果の「可視化」を求めるようになってきているという。
この分野を開拓してきたのはサイバーエージェントやオプトなどネット専門の広告会社だ。ある電通社員は「新しい広告手法を生み出すのはネット専業の会社で、正直ついて行くのが精いっぱい」と漏らす。
電通は、新聞やテレビなどの広…