評論家の荻上チキさん=18日、東京都港区、竹花徹朗撮影
通常国会が20日に始まる。天皇退位、憲法、共謀罪――。重要テーマが目白押しで、「言論の府」の真価が問われる。衆参両院で自民党が過半数を握った先の臨時国会は、数の横暴も目立った。国会審議をラジオ番組で頻繁に取り上げている評論家の荻上チキさん(35)に、国会への期待と注文を聞いた。
――今国会最大のテーマは、天皇陛下の退位に関する法整備です。
退位の問題について、安倍晋三首相をはじめ政府・与党側が「静かな環境で議論したい」と言っているが、要はシャンシャンで終わらせたいということだろう。あまりにも政府に都合のいい言い方だ。
天皇制をめぐる問題をタブー化することにもつながりかねない。特別扱いせず、他法と同様、公の場でワイワイと議論すべきだ。女性・女系天皇の是非も含めて、天皇制に対する幅広い議論を行う必要がある。
陛下の人権を制限して象徴天皇制が成り立っている現状は「あまりにも無慈悲ではないか」という議論もあっていい。天皇制を重んじるがゆえに、たとえばパブリックコメントのようなものを取らないとか、特別な審議の進め方をするのはよくない。
――臨時国会では、採決強行が続きました。
国会はなぜあるのか。政府・与党が出した案に、少数者の目線もいれて様々な疑義を指摘し、不足を補っていくことにある。その意味で主役は野党。「私たちの声を無視すれば、いずれ国民からそっぽを向かれますよ」と時の政府に圧力をかけていくのが仕事だ。
臨時国会では、野党の力不足が見えた。支持率が低すぎて圧力を発揮できていない。「強行採決」という方法論への批判と、法案の中身についての議論が結びついていなかった。「戦争法案」「年金カット法案」というコピーは目立ったが、法案のどこが問題なのか具体的に解説し、国民に直接伝えていく回路が不十分だった。ネットを含めて国民とのチャンネルを作る。細かな審議にも関心を持ってもらう。野党こそ「活動するブロガー」や「立法現場の池上彰氏」を目指してほしい。
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