涙ながらにコメントを読み上げる、高橋まつりさんの母親の幸美さん=20日午後5時21分、東京・霞が関の厚労省、遠藤啓生撮影
「電通と合意に至りましたが、娘が帰ってこないことには変わりありません。『娘に報告できたら』『どこかで生きてて見ててくれたらいいのに』と思う気持ち。ただ、それだけです」
高橋まつりさんの母・幸美さんが配布した文書(全文)
特集:電通・過労自殺問題
電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺してから1年余。母親の幸美さんは20日、再発防止策や慰謝料の支払いについて、電通との合意書に調印した。この日開いた会見で語ったのは、安堵(あんど)というよりむしろ、無念の心の内だった。
幸美さんによると、まつりさんは残業が多い電通の労働環境を理解したうえで、「ブラックなのは知っている。会社を変えたい」と入社を決めたという。
入社後はネット広告を扱うデジタル部門に配属された。7部門から選ぶ配属希望で、もっとも希望しない7番目に選んだ部署だった。それでも、電通に入ったことに誇りを持っていたという。
「でも、(私は)今は誇りに思えない。悔しい」。
幸美さんは会見で、言葉を詰ま…