現地時間の20日午前にワシントンで始まる米大統領の就任式は、4年に1度の「民主主義の祭典」だ。だが今回は、米国民が大きく二つに分断され、戸惑っている姿を象徴するものとなった。首都はトランプ新政権の誕生を祝う人たちの歓声と、強く異議を唱える人たちの抗議の声に引き裂かれた。
特集:ドナルド・トランプ氏
「人々が記録的な数字でワシントンに流れ込んでいる」。トランプ氏は17日、ツイッターにこう書き込んだ。昨年12月にも「記録を打ち立てよう!」と、過去最多の人出になるよう期待をかけた。だが、就任式前日から当日にかけての首都はむしろ、抗議デモの参加者と厳戒態勢を敷く警察官の方が目立つ。
2009年のオバマ氏の1期目の就任式では、首都全体が新大統領の誕生に沸き、支持者が沿道をぎっしりと埋めた。だが今回、米当局が事前に推定した聴衆は80万人前後で、8年前の約180万人の半分以下。約100万人の4年前と比べても少ない。
「過去と比べて売り上げが低い」と、大統領の人形などを売る記念品店の従業員も話す。平日にもかかわらず地下鉄の駅は閑散としており、住民らは家にこもったり、混乱を避けて別の地域に出掛けたりしていると報じられた。8年前のオバマ氏の就任式では1泊1千ドル前後でも市内のホテルは部屋が埋まったが、今回は当日に空き室が出て値下げをする宿も現れた。
一方で、記録的な数となったのは街頭でのデモの数だ。当日だけで63団体、前後を合わせると99団体がデモを予定し、大半が抗議目的だとみられている。過去の例では、ベトナム反戦運動と重なった1973年のニクソン大統領の2期目の2万5千人が史上最多とされるが、これを大きく上回る可能性もある。
前夜には、トランプ支持者のパ…