アフガニスタンの反政府勢力タリバーンは22日、トランプ米大統領に対する声明を出し、「政策を見直さずに米軍駐留を続けるなら、戦闘はさらに泥沼化するだろう」と警告した。
特集:ドナルド・トランプ氏
トランプ氏は20日の就任演説で「過激なイスラムのテロリズムに立ち向かい、地球上から撲滅する」と訴えた。同日夜にはアフガン駐留部隊にテレビ電話で「君たちの働きは素晴らしい。我々は戦い続け、勝利する」と語りかけ、過去にツイッターで唱えた撤退論を封印した。
これに対し、タリバーンは声明で「米国が得たものは、何万人もの米兵の犠牲と多額の資金の無駄、世界的な反米感情だけだ」とし、「破滅を避けるには、前任者の愚策を踏襲するべきではない」と政策転換を求めた。
戦闘が続くアフガンは、治安も財政も米国の支援抜きでは立ち行かない状態で、アフガン政府や専門家の多くは米軍の駐留継続を求めている。地元メディアはトランプ氏側近にアフガン従軍経験者が多いことを評価する論調が目立つ。
一方のタリバーンは、米同時多発テロが起きた2001年、米軍の空爆で政権を追われたが、いまも反政府勢力として戦い、支配域を国土の4割近くに伸ばしている。このためオバマ政権は公約だった米軍撤退を断念し、部隊1万人弱を残している。(イスラマバード=乗京真知)