文部科学省の「天下り」あっせん問題で、内閣府の再就職等監視委員会に国家公務員法違反を認定された同省は近く省内に調査チームを発足させ、3月末までには結果をまとめる方針を決めた。同法で再就職のあっせんが禁止された2009年までさかのぼって調べる。
監視委は、2013~16年の再就職について調査し、前高等教育局長の早稲田大への再就職をめぐる同法違反のほか、違反9件や違反の疑い28件を確認した。また、09年ごろ、同法の再就職等規制違反を避けるために、人事課OBに情報を集約させ、退職予定者と再就職先の大学などのマッチングをさせる「天下りあっせんシステム」をつくったと認定している。
文科省などによると、調査チームは、違反の疑いとされた28件の事実確認を優先的に調べるほか、違反したケースや、09年以降の再就職で職員があっせんにかかわっていないかも聞き取りなどで確認する。調査の経過は随時、監視委に報告し、年度内には結果をまとめて公表する。
監視委によると、天下りあっせんシステムについては、人事課から特定の人事課OBに対し、大学の求人情報や現職の職員、退職予定者、退職者らの個人情報などを伝えていた。人事異動名簿をメールで送信したものも含まれていた。
情報提供だけでは再就職等規制違反に問われないが、恒常的な情報提供があったことなどから、監視委は同省が違反を免れるために人事課OBに再就職のあっせんを担わせていたとみている。このOBは朝日新聞の取材に対し、退職後に関わったあっせんへの同省の組織的な関与を否定している。