子どもが認可保育園に入れなかったのは、保育を受けられるようにする責務を自治体が果たさなかったからだとして、東京都三鷹市の女性(33)が60万円の損害賠償を市に求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、女性の訴えを退けた。永野厚郎裁判長は「市が保育所の整備などを怠ったとは認められない」と判断。女性の請求を棄却した一審・東京地裁立川支部判決を支持した。
判決によると、女性は14年11月、当時0歳の三女が翌年春から認可保育園に入園できるよう申し込んだが選考に落ちた。
女性は「市が保育所の整備を怠ったのは、保育が必要な幼児を保育所で保育することを定めた児童福祉法などに違反する」と主張した。だが判決は「希望するすべての児童が入所できる保育園の整備が市町村に義務づけられているとはいえず、具体的な施策は地域の事情などを踏まえた政策的判断に基づく」と指摘。市の対応に落ち度はなかった、と認めた。
三鷹市の昨年4月時点の待機児童数は264人で前年より55人増加した。女性は「保育園は子を持つ若い世代にとっては社会的なインフラだ。これを機に多くの人に保育園不足の現状に関心を持ってほしい」と語った。
三鷹市は「市の主張が認められた妥当な判決だと受け止めている。今後も引き続き待機児童の解消に向け、全力で取り組みを進めていく」とコメントした。