東京都千代田区長選の主な構図
東京都千代田区長選が29日に告示される。小池百合子都知事が推す現職と自民推薦の新顔ら3人が立候補を予定。7月の都議選に向け地域新党を率いる小池氏は「対自民」の構図を印象付ける戦略だ。自民推薦候補を現職閣僚が支援し、早くも激しい前哨戦になっている。投開票は2月5日。
「私の進める東京大改革を前に進めるのか、後退させるのかの大きな目安だ」
小池氏は27日の記者会見で、5選を目指す現職の石川雅己氏(75)の勝敗が都政に直結するとして、支援に全力を挙げる考えを示した。石川氏のポスターには小池氏と握手した写真。自ら前面に立つつもりだ。
千代田区は人口約6万人。皇居や霞が関、丸の内を抱え、自民党都連幹事長を11年間務め、都議会最大会派をまとめてきた「都議会のドン」とも言われる内田茂都議の地元。小池氏は支持勢力で都議選(定数127)の過半数確保をめざしており、敵視する内田氏の地元での戦いが都議選全体にも影響するとみる。小池氏周辺は「都議選を前にドンの地元で勝ち、自民の勢いをそぎたい」と話す。
自民党は与謝野馨元財務相のおいで新顔の与謝野信氏(41)を推薦。内田氏が擁立の中心となり、石川氏の多選・高齢批判を展開。内田氏と親密な菅義偉官房長官が決起集会に参加したほか、告示日には丸川珠代五輪担当相が駆けつける。ポスターには候補者と安倍晋三首相、丸川氏の写真が並び、すっかり代理戦争の様相だ。
ただ、区長選の流れを引き継ぐ形で都議選でも「小池知事対自民」の構図になれば、自民に不利に作用するのは避けられない。自民党籍を残す小池氏とギリギリのところで折り合い、対決を回避したいのが党本部の本音だ。二階俊博幹事長は27日の記者会見で「一義的には都連の問題」と述べ、区長選での支援にも慎重姿勢をとる。年明けの小池氏との会談で「ほどほどにしてください」と声をかけた首相も、区長選の行方を気にかけているという。
区長選には、政治団体代表の五十嵐朝青氏(41)が立候補を表明している。(伊藤あずさ、二階堂勇)