メキシコ市で22日、国旗を掲げながらペニャニエト大統領の退陣を求めてデモをする市民=田村剛撮影
「トランプ氏がどんな政策をとっても対応できるよう、準備を進めている。事実に基づいて説明をしていくしかない」。昨年11月の大統領選後、メキシコ政府関係者はそう話していた。
自分第一?トランプ政権 儀礼無視ツイート、虚言もアリ
特集:トランプ大統領
輸出の約8割を米国に頼るメキシコにとって、米、カナダと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)の行方は死活問題だ。「メキシコが職を奪っている」と訴えたトランプ政権を説得するため、メキシコ企業が米国内で生んでいる雇用の数を州ごとに丹念に調べていた。
米ウィルソンセンターの試算では、メキシコとの貿易により米国で約500万人の雇用が支えられている。米国の対メキシコの輸出と輸入を合わせた貿易額は、2015年で約5300億ドル(約61兆円)。米国の総貿易額の14%を占め、1分間で100万ドル(約1億円)のモノが行き来している計算だ。
「メキシコの大統領は素晴らしく、両国にとってとてもいい結果が得られるだろう」。トランプ氏は22日、就任後初めてNAFTAの再交渉を明言した際、そう話していた。だが、その4日後、トランプ氏のツイートによって首脳会談は中止になり、メキシコ側の努力は吹き飛ばされた。(ワシントン=五十嵐大介)