紅茶について語る堀田信幸さん=愛知県尾張旭市、吉本美奈子撮影
愛知県尾張旭市が「おいしい紅茶日本一」の街と聞いて、意外だった。名古屋郊外のベッドタウンという印象しかなかったからだ。「おいしい紅茶の店」の数が人口比で全国一だという。喫茶店文化が根付く愛知でも、紅茶はコーヒーより影が薄いのに……。日本一には、訳があった。
「おいしい紅茶の店」は日本紅茶協会(東京)が1988年から認定を始め、昨年11月現在、全国で229店が選ばれている。紅茶の味、店員のサービス、店の清潔さなどを覆面審査員が調査して選ぶ。店の質が落ちれば3年ごとの再審査で取り消される。まるで紅茶の「ミシュラン」だ。
尾張旭市の認定店は18店。2016年は大阪市と並んで店数で1位に。13、15年も大阪市とは店数タイで、14年は単独1位。人口比なら人口約8万3千人(昨年末現在)の尾張旭は、11年から6年連続で1位だ。
仕掛け人がいた。堀田(ほった)信幸さん(63)。市内でいち早く03年に認定された紅茶専門店「ティーズ リンアン」を経営する。
堀田さんは尾張旭に生まれ育った。宇都宮市が「紅茶の消費量日本一」で街おこしをしているのを知り、「認定店数を人口比で1位にすることならできるかも」と動き始めた。市内で希望する店に紅茶の入れ方を指導。キッチンにも入り、メニューを改善させたこともある。その結果、認定店はじわじわと増加。喫茶店や洋菓子店、インド料理店など多岐にわたる。