国際オリンピック委員会(IOC)は3日、2024年五輪招致でパリ、ロサンゼルス(米)、ブダペストが3段階方式で出す最後の立候補ファイルを提出したと発表した。ロサンゼルスの提案では、難民受け入れ停止やイスラム圏7カ国からの一時入国禁止令を出したトランプ米大統領の言動と一線を画す表現が目についた。
ロスは立候補ファイルで「世界は前例のない変化と不確実な時代に突入している」と書き出し、「ロス、そして米国は並外れた文化の多様性を持つ。ロスでの開催は、歴史上、最も必要とされるときに人々、国家をまとめられる。五輪とパラリンピックほど、世界、そして国家を一つにするものはない」と訴えた。
米国では1996年アトランタ大会を最後に夏季五輪が開かれていない。ロスは巨大な国内スポーツ市場、大学寮の選手村活用など、開催計画への評価は高いが、過去の五輪招致では国家元首の失言がIOC委員の反感を買い、痛手になった例がある。
米オリンピック委員会によると、政府から先月末、大統領令の対象である7カ国からでも、スポーツ大会参加が目的の入国は認めるとの連絡を受けたという。それでも、開催都市が決まる9月の総会(ペルー・リマ)まで、招致レースはトランプ氏の奔放な言動に振り回されそうだ。(ロンドン=稲垣康介)