ブルペンに立つ斎藤。背番号1の後ろ姿=米アリゾナ州ピオリア
(3日、プロ野球キャンプ 日本ハム)
球の伸びが違う。日本ハム、斎藤佑樹の投げた直球は鋭い回転を続け、捕手のミットをたたいた。2日(日本時間3日)、キャンプ初の本格的なブルペン入り。「確実に去年の最初よりいい」。充実の51球だ。
6年間で14勝。昨季は0勝だった。もう後がないのは十分過ぎるほどわかっている。だから、過去と向き合った。「左の股関節を痛めていたんです。大学2年のときに。そこからおかしくなった」
投げるとき、左足をまっすぐ踏み出せば痛い。少し外側に開くと痛くない。楽な投げ方に慣れると、肩が開かず、球の出どころが打者から見えにくい本来のフォームを次第に見失った。
昨オフから個人トレーナーをつけ、股関節や右肩の可動域を広げるトレーニングを続けてきた。「この方法が正しいかなんて、わからない。でも、やるしかないんです。これだけ球団に期待してもらって、なんにもできていない」
かつての輝きは、自分でもまぶしく感じる。「本当の自分はこうじゃない、って考えていたけど、でも、今が実際の自分。その自分を高めていくしかない」。28歳の斎藤は新しい背番号のように、1から歩む。(ピオリア=山下弘展)