作家の三浦朱門さん=2010年撮影
元文化庁長官で、日本芸術院院長を務めた文化功労者、作家の三浦朱門(みうら・しゅもん)さんが3日、死去した。91歳だった。妻は作家の曽野綾子さん。
東京都生まれ。東京大文学部を卒業。同人雑誌「新思潮」を友人の故・阪田寛夫さんらと発行し、そこに発表した作品が雑誌「展望」に転載され、デビューした。芥川龍之介を思わせる作風といわれ、吉行淳之介らとともに「第三の新人」の一人。
作家としては、家族の崩壊を知的に描いた「箱庭」で1967年、新潮社文学賞。戦争中住んだ場所をもとにした「武蔵野インディアン」で83年、芸術選奨文部大臣賞。保守的な言論で知られた。
85年、中曽根内閣で、民間人としては今日出海(こんひでみ)氏以来2人目の文化庁長官になり、国民文化祭を始めたほか、教育課程審議会委員・会長、日本芸術文化振興会会長、日韓文化交流会議座長などを歴任し、教育・文化行政に力を尽くした。一方で、「女性を強姦(ごうかん)する体力がないのは男として恥ずべきこと」と雑誌で発言して、非難を浴びた。
日本文芸家協会理事長を88年から3期務めた。99年、文化功労者、87年に日本芸術院会員、04年から14年まで同院長。
53年に結婚した曽野さんとは「おしどり夫婦」と呼ばれ、ともにカトリック信者。大阪万博でキリスト教パビリオンをプロデュースした功績に対し70年、阪田さん、遠藤周作さんとともにローマ法王庁から聖シルベストロ勲章を受けた。