企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を促す会社法の改正について、金田勝年法相は9日、法制審議会に諮問した。上場企業などに社外取締役の設置を義務づけるほか、株主総会の手続きにインターネットを活用することが柱。法制審で1年半~2年程度、議論した後、答申を受けて法務省が改正法案の国会提出を目指す。
外部からの経営陣のチェックを強化するため、上場企業など法律で定める一定規模の企業については、「社外取締役を置いていない場合、株主総会で理由を説明しなければならない」とする規定が2015年に施行された。法務省によると、すでに上場企業の9割以上が社外取締役を置いているという。今回は、社外取締役の設置を法的に義務づけるべきかを議論する。
また、株主総会を開く際、企業は株主に開催を書面で知らせ、事業報告書や損益計算書などの書類を送る必要がある。インターネットでの資料提供はこれまで株主が個別に承諾した場合に限られていたが、承諾がなくても公開するよう見直す。
こうした手続きの電子化と合理化で、企業は多量の資料を印刷する手間やコストを削減できるほか、株主にとっても書類の郵送を待たずに資料を見ることができ、双方の利便性が高まるという。
また、役員報酬は業績に応じて決めることなど、株主に対する透明性を高めるための見直しについても諮問した。(金子元希)