パナソニックの2次下請け会社「アイエヌジー」(福井県あわら市)の契約社員だった上田浩志さん(当時46)=福井市=が一昨年、深夜の勤務後に死亡したのは長時間労働による過労が原因として、福井労働基準監督署が労災認定していたことが分かった。1月31日付。遺族側代理人の海道宏実弁護士らが9日、会見を開いて明らかにした。損害賠償を求める裁判も検討しているという。
弁護士によると、上田さんは、福井市内のパナソニックの工場に派遣されて電子部品の製造工程で働いていた2015年10月、夜勤明けの帰宅途中、突然意識を失い、搬送先の病院で死亡した。死因はくも膜下出血だった。当時、仕事の納期に間に合わせるため、深夜と早朝の長時間労働が続き、死亡する前の2カ月間の時間外労働は月80時間を超えていたという。
昨年6月2日、遺族が福井労基署に労災申請した。上田さんの兄は「労災認定は弟本人にも家族にとっても大きな意味がある。今後、弟のような方を絶対出さないように、当該の会社にも伝えていきたい」とのコメントを出した。
アイエヌジーの事務担当者は「労務を担当している社長が出張しているため、何も分からない。労災認定されたことも知らない」と話した。(影山遼、堀田浩一)