トランプ政権の政策に反対し、東京都内を行進するデモ参加者たち=AP
訪米中の安倍晋三首相がトランプ米大統領との首脳会談を終え、「ゴルフ外交」を展開した12日、東京・渋谷では、日本に住む米国人らが「米国を包括的な国に」と声を上げた。デモには日本人も参加。約350人が「多様性が米国を偉大にする」などと書いたプラカードを持って、移民や難民の入国を禁止する大統領令やメキシコ国境の壁建設に抗議した。
米メディアは、安倍首相がトランプ大統領が中東・アフリカ7カ国の入国禁止措置を一時禁止する大統領令を出したことを批判せず、親密さを強調した今回の訪米について「おべっか」と皮肉を込めて報じた。デモの参加者たちは、どう見たのか。
「各国の首脳が懸念を示している中での訪問は、他国との国益の面では問題ないのかと思った」と、家族と参加した弁護士の白木敦士さん(30)=東京都文京区=は話す。
首脳会談を通して、日米間の貿易不均衡を問題視するトランプ氏の理解を得たい安倍首相の狙いは分かる。だが、「もっと大切なことがあるのではないか。多様性を否定するトランプ氏に断固とした態度で臨んでほしかった」と話した。
台湾人で国際開発系NPO職員のステファニー・ウォンさん(36)は「日本はアジアにとって重要な国。遠くの友達よりも、まずは近くの国々と仲良くしてほしい」と要望。訪米で日米同盟を前面に押し出した安倍首相を残念に思った、という。
日本に住んで約1年。日中関係の悪化から、日本では中華圏の外国人に対する風当たりの強さを感じる。
「日米安保はもちろん大事。でもどのように日本の平和をつくりたいのか。アジアにもっと目を向けるべきだ」(牛尾梓)