マイケル・フリン氏
フリン米大統領補佐官(安全保障担当)が13日夜(日本時間14日午後)、辞任した。ホワイトハウスが発表した。暫定の補佐官として、キース・ケロッグ元陸軍中将をあてる。トランプ政権発足前に駐米ロシア大使と電話し、対ロ制裁について協議していたことが問題視されていた。
フリン氏は安全保障の司令塔として、昨年11月のトランプ氏と安倍晋三首相との会談のほか、今月10日の首脳会談にも同席していた。トランプ政権の外交政策の要として対北朝鮮政策の見直しなども担っていた。トランプ政権の要職が辞任に追い込まれ、政権にとって大きな痛手になるのは避けられない情勢だ。
オバマ前大統領が対ロ制裁を発表した昨年12月29日に、フリン氏がロシア側と会話したことを米情報機関は傍受している。対ロ制裁は、ロシア情報機関が米大統領選挙にサイバー攻撃などで介入したことへの報復措置だった。フリン氏自身やペンス副大統領はこれまで、フリン氏がロシア側と制裁について話したことを否定してきたが、今月9日、報道担当者を通じてワシントン・ポスト紙に「制裁について協議したと思い出せないが、議題に出なかったかは確かではない」とし、制裁について協議した可能性を示唆した。
米国内法には、権限のない市民が論争のある外国政府と交渉することを禁じる規定が存在。フリン氏の行動がこれに違反した可能性があるとして、米連邦捜査局(FBI)が捜査しているとされる。(ワシントン=峯村健司)