衆院予算委で民進党の前原誠司氏の質問に答弁する安倍晋三首相=14日午前、金川雄策撮影
日米首脳会談を受け、外交・通商政策に関する集中審議が14日、衆院予算委員会であった。安倍晋三首相は日本周辺の安全保障環境が悪化しているとして、「日本の首相としてトランプ米大統領と親密な関係をつくり、世界に示していくしか選択肢はない」と述べた。来月にはドイツを訪問し、メルケル独首相との首脳会談でトランプ政権との橋渡し役を目指す考えも示した。
大統領令で中東・アフリカ7カ国の国民や難民の入国を一時禁止し、国際的に批判されているトランプ氏と親密な関係を築く是非について、民進党の前原誠司氏が「日本国民にも厳しい目が向けられるリスクを感じながら選択したのか」と問うたことに答えた。
メルケル氏は「大統領令は難民を支援する国際法や国際協力に反する」とトランプ氏を批判した首脳の一人。安倍氏は前原氏らに対し、「様々な不安を持っている国々に(トランプ)大統領がどう考えているかを伝えつつ、彼らの不安も大統領に伝えていきたい」と述べた。米国の内外でトランプ氏の排外主義的な政策への反発が出ていることに対しては「(世界が)分断されないよう日本が役割を担っていく」と語った。
日米二国間の自由貿易協定(FTA)交渉については、「一連の会談では具体的な要請はなかったが、我々は二国間FTAを恐れているわけではない。国益になればいいし、ならなければ進めない」との考えを示した。トランプ氏が離脱を表明した環太平洋経済連携協定(TPP)は、「しつこいぐらい話して、ルールを作っていく意義は理解していただいた」と述べた。
安全保障政策では「日本防衛のため、抑止への具体的なコミットメントが共同声明で言及された。核抑止から通常兵器まで具体的に書いたことは近年では初めてではないか」と首脳会談の成果を強調した。(南彰)