愛知県一宮市で昨年10月、スマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」をしながらトラックを運転し、小学4年の則竹敬太君(当時9)をはねて死なせたとして自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われたトラック運転手川合信右(のぶすけ)被告(36)の裁判が14日、名古屋地裁一宮支部であった。検察側は「『ながらスマホ運転』を常習的に行っていた」として禁錮4年を求刑し、結審した。
検察側は論告で、川合被告が勤務中にポケモンGOを起動させ運転中にゲームを繰り返していたと指摘。「危険性が社会問題になっていることを認識しながら、ゲームをしたいという身勝手な欲望を優先した」と主張した。その上で、「被告の不注意により将来が無限の可能性を秘めていた被害者の命が一瞬にして奪われた」と述べた。
一方、弁護側は「通常の脇見運転よりも危険性は高いが、信号無視や酒気帯び運転とは一線を画すものであり、危険性の判断は慎重にされるべきだ」と主張し、執行猶予付きの判決を求めた。
被害者参加制度で法廷に立った則竹君の父親の崇智さん(46)は、事故後に家族が苦しんだ様子を語り、被告に対し「この苦しみがわかるか」「(息子を)かえせ。かえしてくれよ」と語気を強めた。崇智さんの代理人弁護士は、過失運転致死罪の上限にあたる懲役7年の判決を求める意見陳述をした。