マイナンバー通知カードの送付の流れ
マイナンバー制度がスタートして1年以上が経過したが、全国の自治体に保管されたままの通知カードが約135万通(昨年11月末現在)あることが総務省への取材でわかった。会計検査院の調べでは、一部の自治体で一時、配布のために定められた措置が取られていなかった。受け付けが始まった所得税の確定申告では、今年からマイナンバーの記載が義務づけられる。国税庁などは把握していない人は早期に確認するよう呼びかけている。
■大阪府は8万通弱を廃棄
マイナンバーの利用は昨年1月から始まった。通知カードはそれに先立ち、2015年秋から各世帯宛てに発送された。これまでの発送数は6千万通超に上るが、「転送不要」とされたため、住民票の住所から転居していた場合などは各市区町村に返送された。総務省は各自治体に、転居先などを調査するとともに、なるべく保管するよう求めた。ただ、いつまで保管すべきかは明示しておらず、対応は分かれている。
東京都杉並区には現在、約9千通の通知カードが保管されている。「受け取っていない人が住所変更などをしていないか何度も確認してきた」と担当者は話す。
同区は15年11~12月に約30万世帯に通知カードを送付したが、5万通以上が戻ってきた。その後、丹念に転居先の調査などをし、約3万通は受け渡しに「成功」した。区外への転出や死亡が判明した約1万通は廃棄した。
保管する約9千通のうち、住民票の住所に住んでいないとみられるのは約1500通という。高齢者で施設に入ったままの状態などが考えられる。残りは、住民票の住所に住んでいるが何らかの理由で受け取っていないケースなどとみている。
同区は3月末でこれらの通知カードも廃棄する予定で、担当者は「受け取っていない方は早めにご連絡を」と呼びかけている。
横浜市も各区で計約6万通(昨年末時点)を保管中。まだ受け取りにくる人もおり、廃棄の時期などは決めていない。一方、大阪市は昨年7月以降、8万通弱を廃棄した。約148万世帯に通知カードを発送し、約22万通が返送された。その後、調査を続けて保管数を減らし、引き渡し数も減ったために廃棄を決めたという。
■自治体の2割超、転居先調査せず
総務省とは別に、会計検査院は…