2020年東京五輪に続く24年夏季五輪の開催都市に立候補していたハンガリー・ブダペストのタルローシュ市長は22日、オルバン首相らと会談し、招致活動からの撤退を表明した。正式には市議会の投票で決めるが、可決される見通しだ。招致争いはロサンゼルス(米)とパリ(仏)の一騎打ちとなった。
ブダペスト撤退の引き金になったのは、招致反対派による住民投票を求める運動。反対派は18日、開催の是非を問う投票実施に必要な署名が市の人口の約15%に当たる26万を超えたと発表した。ハンガリー政府は22日の会談後声明を出し、「五輪開催に必要な一体性が失われた」とした。
近年、財政面の不安などで招致熱は冷え込んでおり、冬季では直近の22年大会招致でも、成功した北京、落選したアルマトイ(カザフスタン)の2都市しか残らなかった。特に欧州では有権者の間で五輪開催に伴う巨額の費用負担への批判が強く、24年五輪招致でもハンブルク(独)、ローマ(伊)が途中で撤退している。
夏季で2都市しか候補が残らないのは、名古屋がソウルに敗れた1988年大会以来。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が先日示唆した、28年大会の開催都市も今回の候補から決める2大会一括選定を巡る議論が活発になる可能性もある。(ウィーン=喜田尚)