東京都の築地市場(中央区)にある仮設の全35棟が、建築基準法にのっとって必要な使用許可を2005年以降、得ていなかったことが23日、都の市場問題プロジェクトチームの会議で分かった。約12年間、違法状態が続いていた形で、都のずさんな管理態勢が明らかになった。
担当部局の都中央卸売市場によると、許可を得ていないのは3階建ての正門仮設駐車場や仮設倉庫などで、1991年から順次建てられた。同年に始まった再整備工事により施設の仮移転先として造られたもので、当初は「工事に必要な期間の使用」を申請し、許可されていた。
その後、96年に再整備計画がなくなって工事は中断したが、担当部局は「狭い敷地内で業務を続けるために必要」として、2度の使用許可を得た。しかし、その期限が切れた05年5月以降は申請をしなかった。担当者は「原因は調査中」としている。
同法では、工事現場の事務所など一時的に設けられる建築物を使う場合、防災や衛生上の安全性などを示し監督官庁の許可を得る必要がある。違反した場合、罰則規定もある。担当部局は、「手続きが不十分で誠に申し訳ない」と陳謝。防災上の定期点検を重ねていることから「安全性は問題ない」とし、今後、使用許可申請に必要な準備を進めるという。
これとは別に、同市場の水産仲卸売場旧店舗(2万1585平方メートル)や青果部第2別館(7791平方メートル)など6棟が、耐震構造基準を満たしていないことも分かった。1934~76年に建てられた施設で、うち2棟は建設以来、1度も耐震補強工事がされていない。
都は04年度以降、主な建物について耐震補強工事をしてきたが、6棟については営業中の工事が困難で、十分な対策が取れていないという。豊洲市場(江東区)への移転の見通しが立たない状況だが、担当部局は「当面、小規模の補修工事や避難経路の確保などを徹底して対応したい」としている。(伊藤あずさ、岡雄一郎)