JR北海道室蘭線で23日早朝に起きた貨物列車脱線事故の影響で、24日発売の村上春樹さん(68)の新作長編「騎士団長殺し」が道内の書店に届かなくなり、発売が延期された。発売元の新潮社によると、25日には販売できる見込みという。
日本出版取次協会などによると、村上さんの新刊本は、各書店で一斉発売できるよう、23日に貨物列車で運んだ後、夕方までにトラックで各書店に配送する予定だったという。
紀伊国屋書店札幌本店では、24日午前0時から販売を開始するために、カウントダウンイベントを予定していたが取りやめた。予約している客には延期を知らせる電話をしているといい、同店課長代理の近藤恵美子さん(39)は「一刻も早く読んでもらおうと準備して、お客さんも盛り上がっていただけに残念だ」と話した。
「騎士団長殺し」は2巻構成で、発行部数は「第1部 顕(あらわ)れるイデア編」が70万部、「第2部 遷(うつ)ろうメタファー編」が60万部の計130万部。村上さんの長編は、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来4年ぶりで、複数巻に及ぶ大作は「1Q84」(BOOK1~3)以来7年ぶりとなる。(塩原賢)