蛭子能収さんがデザインしたワンカップ=東京・池袋
「おじさんの飲み物」とみられがちなカップ酒のイメージを変えようと、酒造大手の大関(兵庫県西宮市)が、限定デザインの「ワンカップ大関」を東京・池袋の日本酒イベントで販売中だ。ファンの高齢化とともにカップ酒の消費は減っており、今の若い世代にアピールする狙いだ。
東京・池袋で3月5日まで開催している「I LOVE SAKE 日本酒マニアック博」の会場に、楳図かずおさんや安野モヨコさんなど有名漫画家ら30人のデザインを印刷した「ワンカップ大関」が並ぶ。
大関がイベントに合わせて準備し、展示した商品をその場で販売している。1本180mlが888円(税込み)で通常のワンカップ(同235円)より割高だが、東京都世田谷区の女性(36)は3本を購入した。「カップ酒はおじさんのイメージだったけど、これは飲み終わったらコップとして使いたい」と話す。
「ワンカップ大関」は1964年の東京五輪の開幕日に発売した。日本酒といえば一升瓶という時代に斬新な容器で登場し、若者から支持を集めた。だが、日本酒の消費量が低迷するにつれ、売上本数が減少傾向に。ワンカップはいまも大関の売上高の約4割を占める主力商品とはいえ、15年度は約4850万本と、ピークだった1993年度(約1億3千万本)の半分以下になった。
ファンが年を取るにつれ、「昭和の象徴」というイメージも定着した。大関の広報担当者は「元々はスタイリッシュさが売りの商品。デザイナーの力も借りて、当初のコンセプトに戻したい」と期待を寄せる。(中村光)