広島市の平和記念公園を訪れたドクさん=2016年10月20日
天皇、皇后両陛下は28日午前、初訪問となるベトナムに向かう。3月2日夜には、首都ハノイでの大使夫妻主催のレセプションで「結合双生児」として生まれ、日本で治療を受けたこともあるグエン・ドクさん(36)と対面することになった。ドクさんは「とても光栄な、人生で最も誇らしい出来事です」と話す。
「日本はあたたかい国」 両陛下と対面予定のドクさん
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ドクさんは、ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の影響で、体がくっついた状態で生まれた兄弟「ベトちゃん・ドクちゃん」の弟の方。1986年に日本で治療を受け、88年に両国の医師が協力してベトナムで分離手術に成功した。兄のベトさんは2007年に亡くなったが、ドクさんは結婚して2児の父となり、ベトナムで暮らしている。
「日本は第二の故郷。恩返ししたい」と11年4月には東日本大震災の義援金を携えて来日。16年10月には広島市の平和記念公園を初めて訪れた。
両陛下との対面が決まり、「あまりに光栄で身が震えてしまいました」。
南部ホーチミン在住のため、当初対面の予定はなかった。元宮内庁幹部は「枯れ葉剤の問題が風化しつつあるなか、両陛下は平和を願って活動するドクさんを直接ねぎらいたいお気持ちでは」と、対面がかなった理由を推察する。
両陛下は28日に羽田発の政府専用機でハノイに入り、3月1日に国家主席夫妻主催の晩餐(ばんさん)会に出席し、2日に残留日本兵の妻らとの対面などを予定。タイには3月5日に入り、ワチラロンコン新国王と会見。6日に帰国する。首席随員は中曽根弘文参院議員。(島康彦、ハノイ=鈴木暁子)