国会で「反論」に追われる安倍首相
森友学園との関係や政治家の介入の有無、不透明な土地売却の手続き――。これまでの国会審議で、安倍晋三首相は釈明と反論を繰り返してきた。首相が出席して6日に行われる参院予算委員会の集中審議を前に、発言を整理した。
特集:森友学園問題
学園の幼稚園で教育勅語を暗唱させ、憲法改正で首相を後押しする日本会議のメンバーの籠池氏との接点について、首相は妻昭恵氏の大阪の知人を通して知り合ったと説明。当初、「妻から(籠池)先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」(2月17日)と評価していた。
ところが幼稚園の教育方針をめぐる問題が指摘され始めると一転、「教育者としていかがなものか」(同24日)と批判。野党から「(園児が)『安倍首相がんばれ。安保法制国会通過よかったです』と言うような幼稚園は首相の共鳴するものか」と追及されると「教育の詳細は全く承知していない」「『がんばれ』とか園児に言ってもらいたくない」(同27日)と突き放すようになった。
新設予定の小学校の名誉校長に就いていた昭恵氏が学園に「内閣総理大臣夫人」と紹介されていたことについて、野党から「広告塔」だったと指摘されると、「妻は妻で別途人生がある。先方(学園側)がどういう肩書を書いているかまで責任を持てない」(3月1日)と自らの責任を否定した。
籠池氏との間では、説明に食い違いも出ている。昭恵氏が名誉校長に就いた経緯を、首相は「妻は断ったが突然(講演会で)紹介された」(2月24日)と説明したが、籠池氏はNHKのインタビューで「承認してもらったうえで講演で紹介し、名誉校長に就任してもらった」と主張。雑誌対談で「首相には学園に足を運んで頂いた」と述べた籠池氏の説明も、「訪問していない」(同日)と否定した。
首相は学園側との資金的な結びつきを一貫して否定した。幼稚園の保護者向けの資料に2015年に幼稚園で講演した昭恵氏への支出を示す記載があると野党側から指摘されたが、「全く承知していない」(同28日)と明言した。