学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却や小学校の設置認可をめぐる問題で、学園の籠池泰典理事長が9日午後2時20分ごろ、学園が建設を進める大阪府豊中市の「瑞穂(みづほ)の國(くに)記念小學院(しょうがくいん)」予定地に黒っぽいスーツ姿で現れた。現地調査のため、すでに府教育庁職員が到着していた。
特集:森友学園問題
「静かに。国民の皆様にお伝えします」。籠池氏は集まった100人以上の報道陣を前に声を張り上げた。背後に未完成の校舎があり、土砂の搬出作業も続いている。「20年来、どのように小学校を作っていけばいいのか、いつも考えてきた。総決算で学校を作り上げようとしている。しかし、今、非常に悩んでおります」。そう切り出し、一連の問題を語り始めた。
まずは、府私学審議会が2015年1月に学校の工事の契約状況を報告することなどを条件に「認可適当」と答申したことに矛先を向け、「認可妥当(適当)がなければ、建物も建てていなかった」と主張。国会の予算委員会で学園の国有地取得などをめぐる質疑が続いていることにも「ほかの重要な国論について言うことがないのか」と批判した。一連の問題について「仕組まれてきたと思う」と自らの考えを語り、「どうぞ学校を開設させていただきたい」と訴えた。
その後、調査に来た教育庁職員が待つプレハブ施設内に入ったが、30分ほど後に再び報道陣の前へ。
学園側が今年2月の私学審に、愛知県の中等教育学校と「推薦入学枠の提供で合意」と報告したことについて、「我々のコンサルタントがちょっとミスをした。現在進行形ですから。正式決定と書いたのは本当に申し訳ない」と釈明した。
国に「23億8464万円」、府私学審に「7億5600万円」など学園側がいくつもの小学校建築費を示したことについて報道陣に問われると、正しいのは「7億5千万」と説明。しかし、理由は「ちょっとまだ」などと言葉を濁した。
報道陣への対応とは別に、動画サイト「ユーチューブ」にも一時、籠池氏が語る動画が掲載された。
籠池氏は、国有地取得について「何ら疑義はない。どなたにも口利きをしてもらったことはない。その時の風が吹いて今、私どもの土地になっている」と主張した。さらに「物件について教えていただいたのは不動産屋さん」と語った。
小学校が不認可の場合、「大変なことになる。大阪府に賠償請求をしないといかんようになる」と語り、そうならないよう「きちっと答えてます」と話した。
政治家との関係にも言及した。籠池氏について「知らない」「10年前にしか会っていない」と話す国会議員がいるとして、「そんなことない」「よく存じ上げている方もいますね」と指摘。「しっぽ切りはやめてほしい」と述べた。実名は明らかにしなかった。