「聖徳太子という表記をなくしたり、聖徳太子不在説に立ったりするものではない」――。学習指導要領の改訂案で「聖徳太子」の表記が変更されたことについて、9日の参院文教科学委員会で「問題だ」といった声が上がり、松野博一文部科学相が説明に追われる一幕があった。
改訂案では、「聖徳太子」が、小学校では「聖徳太子(厩戸王〈うまやどのおう〉)」、中学校では「厩戸王(聖徳太子)」となっている。文科省によると、正しくは「厩戸王」で、没後100年くらい後の書物で「聖徳太子」と紹介されたという。中学校では正式名を先に出した。
無所属クラブの松沢成文氏は同委で「極めてわかりにくい。聖徳太子の偉業を歴史のなかで教えていくのは連続性がなければいけない」と指摘。議論が足りないとして、今回の改訂では表記の変更を見送ることも求めた。松野文科相は「聖徳太子の業績に否定的な見解を持っているということでは全くない。古代史への理解をしっかり進めるにあたり、こういう形になった」と説明。そのうえで「パブリックコメントで広く意見をいただき、(3月中の公示までに)しっかり判断したい」と述べた。(水沢健一)