参院予算委で、民進党の大塚耕平氏の質問に答弁する安倍晋三首相=24日、岩下毅撮影
学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、学園の籠池(かごいけ)泰典氏の証人喚問での証言を次々に否定し、両者の主張の違いが鮮明になった。首相夫人付の政府職員の土地問題への関与や首相の妻昭恵氏による100万円の寄付の有無――。野党は「真相解明には不可欠だ」として、昭恵氏ら8人の証人喚問を要求した。
特集:森友学園問題
多くの野党議員が追及したのが、首相夫人付の政府職員が国有地借り受けに関して、籠池氏の意向を受けて財務省に照会し、ファクスで回答した問題だった。
籠池氏は「昭恵夫人に助けて頂こうと電話した」と証言。留守電を受けた昭恵氏が照会を指示したかが論点となった。首相は「妻から(籠池氏側に)答えないなかで(籠池氏側から)夫人付に手紙が来て、答えた」と説明。回答は職員の判断だったと強調。「国有地の払い下げに妻が関与したことには全くならない」と反論した。
籠池氏は「財務省の中でどのようなことが起きていたか詳しく知らない」と述べたが、この職員の照会が財務省職員が昭恵氏の意向を忖度(そんたく)することにつながったのではないか――。野党の追及に、首相は「(ファクスの内容は)ゼロ回答であり、忖度していないことは明らかだ」と否定した。
籠池氏が昭恵氏と「2人きり」の状況で受け取ったと述べた100万円の寄付については、「密室でのやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することを述べたのは誠に遺憾だ」。籠池氏が「口止めとも取れるメールが届いた」と批判した妻と昭恵氏とのメールのやりとりには、「一部を使って『メールで口止めをした』と籠池氏が言っていることは極めて遺憾。(証言は)悪意に満ちたものだ」と反発した。
籠池氏の証言を全面否定した首相に、共産党の小池晃書記局長は「解明には(昭恵氏に)同じステージでやっていただく証人喚問が必要だ」と主張。首相は「籠池さんは補助金の不正受給があったのではないかということでもある。(妻は)寄付はしていないが、していても犯罪では全くなく、証人喚問というのはおかしい」と拒んだ。