ナス出荷をめぐり公取委が問題視した構図
ナスの特産地で知られる高知県の「土佐あき農業協同組合(JA土佐あき)」に対し、公正取引委員会は、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で再発防止を求める排除措置命令を近く出す方針を固めた。ナスを同農協以外に出荷しないよう組合員の農家の取引を制限したと認定する見通しだ。市場への出荷ルートをめぐって農協に同命令が出るのは初めてとなる。
高知県内のナスの集出荷場は「支部」と呼ばれる農家たちの生産組織が運営している。関係者によると、同農協管内の複数の支部が2012~16年、農協ルートでの出荷に応じない農家を除名し、袋や箱詰めをする集出荷場を使わせなかった。一部の支部では、農協以外のルートでの売り上げに3・5%にあたる手数料を求めたり、畑の広さごとに農協への出荷量を設定して下回ると罰金を科したりしていたという。
公取委は昨年5月、農家の自由な取引を妨げたとして、排除措置命令を出す方針を同農協に通知した。しかし、農協は「支部は農協から独立した組織。農家同士の規約に従ったもので、農協は関与していない」などと反論。公取委は昨年10月、通知後としては異例の立ち入り検査をするなど、審査をやり直していた。
公取委は、集出荷場は同農協の…