雪崩の遭難者の捜索に使うビーコン
栃木県那須町のスキー場付近で起きた雪崩被害で、死亡した8人を含む高校生らは遭難者の位置を知らせる送受信器「ビーコン」を持っていなかった。雪崩で生存可能性が高いのは遭難から15分以内とされるが、8人の救出には3時間以上かかっていた。生徒らの位置を特定するのに時間がかかった可能性もある。
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栃木県によると、雪崩は27日午前8時半ごろ発生。那須地区消防本部によると、救助隊8人は午前10時過ぎにスキー場に着いた後、ゲレンデ脇の斜面を尾根に向かって登り、雪上にいた生徒ら30~40人の姿を確認した。午前11時45分ごろから約1時間かけて、幅10メートル、長さ20メートルの範囲で、最大で深さ2メートルほどの雪の中に埋まっていた8人をスコップで救出した。
救助に加わった那須山岳救助隊のメンバーによると、雪上にいた生徒らの話などから埋まった位置を判断したという。「8人はビーコンを持っていなかった。当初はスキー場内での雪崩と思っていた。救命には時間が勝負で、ビーコンがあれば1分でも早く位置を特定できた」と話した。
生徒らが参加していたのは県高校体育連盟主催の「春山安全登山講習会」。県教育委員会の田代哲郎スポーツ振興課長は「『登山』ではなく『講習会』なので、雪崩の危険は予期しておらず、ビーコンは標準装備としては持っていなかったと思う」と話した。