沢井国一被告に判決を言い渡した神戸地裁=神戸市中央区
神戸市中央区のJR三ノ宮駅前で昨年5月、乗用車でロータリーを暴走し、歩行者5人に重軽傷を負ったとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の罪に問われた無職沢井国一被告(64)=同区=の判決が29日、神戸地裁であった。佐茂剛裁判長は「繁華街の中心部で多数の命を脅かす極めて危険な行為」と述べ、懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役4年)を言い渡した。
沢井被告は事故後、神戸地検の鑑定で、てんかんの持病があると初めて診断された。公判では、運転中に意識障害に陥る恐れを事故前から認識していたかどうかが争われた。
弁護側は主治医からてんかんの指摘はなく、「素人の被告が認識するのは無理」と無罪を主張。判決は、沢井被告が2014~15年に3回の交通事故を起こしていたことから「正常な運転に支障があるような心身の問題を抱えていると疑うのが通常」と述べ、事故前に危険性を認識できたと判断した。
事故は昨年5月3日午前11時すぎ、三ノ宮駅北側のロータリー付近で発生。判決によると、沢井被告は運転中にてんかんの発作で意識を失い、車を暴走させて歩道上にいた5人をはね、うち3人に半年から1カ月の重傷を負わせた。(川田淳史)