鹿児島市の路上で2013年、鹿児島県警の警察官が会社員男性(当時42)を取り押さえた際に死亡させ、遺族が県に約9160万円を求めた国家賠償請求訴訟で、福岡高裁宮崎支部の根本渉裁判長は、事件の映像提出を検察側に命じた鹿児島地裁決定を取り消した。決定は3月30日付。遺族側の弁護団は最高裁への特別抗告を検討している。
弁護団によると、映像は報道機関が鹿児島中央署の警察官に同行取材した際に撮影されたもの。事件の一部始終が映っており、男性の「死ぬ」「助けて」などという声も入っているという。映像は事件後に県警が差し押さえ、鹿児島地検が保管している。
高裁支部の根本裁判長は映像提出の必要性について、「目撃者の供述調書もあり、不可欠とはいえない」と指摘。「提出した場合、報道の自由や当事者以外のプライバシーが侵害される恐れが高い」とした。
現場で制圧に関わった警察官の…