神木隆之介さん=東京都目黒区目黒、篠田英美撮影
若き天才棋士・桐山零の成長を描いたマンガ「3月のライオン」が映画化され、前編が公開中だ(後編は22日から)。主演した俳優の神木隆之介さんは棋士から対局や所作の指導を受け、撮影に臨んだ。将棋の魅力や、名人戦七番勝負に対する期待を聞いた。
特集:将棋名人戦七番勝負
◇
将棋はおじいちゃんとやっていましたが、ルールを知っている程度でした。撮影にあたって2カ月半、レッスンを受けました。戦法はゴキゲン中飛車など振り飛車が好き。今は頑張って矢倉を勉強していますが、駆け引きが多くて難しい。将棋はコミュニケーションなんですね。
教わるにつれてわかったのは、「将棋は1人で戦うしかない」ということです。負けかもしれないと思った局面で、希望を見つけられるかどうかは自分次第。1人で焦って、1人で落ち込んで。「勝敗がつくまでは1人」という点に厳しさを感じます。
元々、原作のマンガが好きだったので、オファーを受けた時はうれしかったです。対局の雰囲気を知るため、郷田真隆王将と羽生善治挑戦者が対戦した昨年の王将戦を見学しました。2人の背中から、素手で殴り合っているような気迫、緊迫感が伝わってきた。そこで感じたことが、作品の中でチラチラ見えたらいいなと思って演じました。
「将棋と言えば羽生さん」というイメージがあったので昨年、佐藤さんが名人になった時は衝撃的でした。インターネット中継のコメントなどを見た印象ですが、他の棋士が予想しない手を指す方なのかなと思います。一方で、稲葉さんは王道の将棋なのかな。自分の言っていることが合っているのかは、わからないんですけれど。名人戦という舞台で違う色の2人がぶつかって、どういう化学反応が起きるのかに注目しています。
最近はネットのAbemaTV(ティーヴィー)に将棋チャンネルができましたし、有料の将棋チャンネルで、よく過去の対局の動画も見ます。将棋に触れる機会が増えたのはうれしいですね。一ファンとして、今から名人戦が楽しみです。